Clare Trumanは、autistic(自閉症の)子どもたちを長年教えてきた教育者であり、Pathological Demand Avoidance (PDA)の専門家です。PDAは日本語では病的要求回避と訳されますが、日本ではあまり知られていないですね。彼女はSpectrum Space を運営し、学校に行くのが難しい子どもたちのサポートをしています。具体的には、学校の代わりにオンラインでの学習プログラムを提供したり、教師や親向けにコンサルティングやトレーニングを行っています。また最近ではPDAの本も出版しています!
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あなたと自閉症のつながりとは何ですか?
弟がautistic(自閉症)で、一緒に育つ中で少しは自閉症についての知識がありました。教師になった時に、自閉症の子どもたちを主に教えたいと思うようになり、もう10年、自閉症の子たちを教えています。とってもゆっくりではありますが、ロンドン大学ユニバーシティカレッジのCentre for Research in Autism and Education(Grace Center for AutismのKanaと同じ研究所です)で博士課程の研究もしています。
PDA とは何か教えてくれますか? (特徴とは何ですか?PDAは診断名ですか?PDAは自閉症のひとつのプロフィールなのですか?PDAの人はautistic(自閉症)でもあるのでしょうか?
PDAとはPathological Demand Avoidanceの略で、よく自閉症のプロフィールのひとつとして考えられますが、これは全ての場所において認められている考えではありません。実際、私の仕事と研究の多くがPDAに関していますが、今のところ、PDAに関してはわからないことばかりで、PDAとはという質問に対してはっきりとした答えをするのは難しいです。
私たちのわかっている限り、PDAの個人(よくPDAersと呼ばれます)というのは社会的コミュニケーションの違いや感覚的違いなど、autistic(自閉症の)人たちと同じような特徴を持ちながらも、毎日のタスク(好きなことも含めて)を、社会的な戦略を使いながら異常に避けます。彼らは不安を起こさせるものに対して、コントロールをしなければならないという必要性を持っています。PDAの特徴に関してはここからもっと学ぶことができます: About autism & PDA – PDA Society.
PDAの診断に関しては国によってバラツキがありますが、私の働くイギリスでは、自閉症の診断とともに追加要項として示されることが多いです。例えば、「PDAプロフィールを持った自閉症」という診断をもらったりします。PDAは国際的に認められた診断書には載っていないですが、自閉症のアセスメントの中で、より多くの臨床に携わる人がPDAを認めるようになってきています。それでも、PDAは自閉症のプロフィールのひとつではないと考える臨床者、研究者、擁護者もいます。PDAに関しては未だにたくさんの議論があります。
あなたはPDAにどのようにアプローチしているのですか?
Harry Thompson (ハリー トンプソン)という擁護者がPDAについて書いた記事の中で、「本能的な自由への欲求」(Thompson, 2019) と説明しているのを読んだことがあります。私はこの説明がとても好きです。自由というのは、私が今までに出会ったPDAerにとってとても重要で、その自由への欲求を私は尊重しています。
最大の自由を許す環境を作り出すことがPDAerにとって生活を楽にすると思っています。だから、例えば、学習に成功するために必要な自由を与えるために、私は教師たちにPDAの生徒に自分の学習プロジェクトを立てせるように促します。
普通教育と特別教育の両方で指導をされてきましたよね。autistic(自閉症)また PDAersの子どもを持つ親へ、普通教育と特別教育の選択に関してアドバイスはありますか?
普通教育にも特別教育にも長所と短所があります。特別教育はしばしば、トレーニングやリソースが豊富で、そしてまた、生徒に対してのスタッフの数が多いので、PDAプロフィールであってもなくても、autistic(自閉症の)生徒にとってはサポートが行き届いていると思います。しかしながら、普通教育は特別教育より多くの教科の専門家とカリキュラムやリソースが整っていることがあり、より高レベルな教科の学習ができることがしばしばあります。
普通教育と特別教育の選択に関してより重要なのは、学校のスタッフ、特にリーダーシップをとっているスタッフの態度だと思います。もしもリーダーシップをとっているスタッフが個人個人の必要性を満たせる人たちならば、autistic(自閉症)また PDAersの生徒にとってパーフェクトです。
大人になってからPDAはどのように現れますか? 生きにくさはどのように変化していくのでしょうか?
PDAの強みも困難も、成人期になってもあり続けますが、成長とともに自分にとって有効な困難をやり抜く方法を自ら見出す方もいます。一方で、大人になると法的なサービスからのサポートは少なくなり、ある意味、困難は増します。
多くのPDAの大人たちが自分たちの経験と、日々の困難をどのようにして乗り越えているのかを共有しています。私は以下のPDAの筆者達が好きです:Sally Cat, Julia Daunt, Harry Thompson.
最近出版されたあなたのPDAに関する本について教えてください!
The Teacher’s Introduction to Pathological Demand Avoidance: Essential Strategies for the Classroom’というタイトルで最近本を書きました。教師や学校スタッフに向けて書きましたが、PDAの子どもを支える親などにも興味がある内容です。PDAの子どもに対して、どのような言葉を使ったら良いのか、どのようにしたら学びたくなるのか、難しい場面を乗り切れるのかなど、PDAの子どもが学校に行けるようにするためのアドバイスやアイディアがたっぷり詰まっています。Jessica Kingsley Publishersから出版されています。
クレア、PDAに関して役に立つ情報をありがとうございました。読者の方々も、この記事を役に立ったと感じていただけているといいなと思っています。